金属アレルギー⑥

突然ですが、左上の金属が入った歯の写真が術前、右上の白い詰め物に置き換えた写真が術後です。
この写真に写っているのは、私、院長・松本の口腔内です。
金属アレルギーについて学び、理解が深まるにつれ、不安が徐々に大きくなり、ついには恐怖に変わっていきました。そしてようやく、自分自身の口腔内からすべての金属を撤去し、「グラディア」(保険適用外の白い詰め物)へ置き換える決断をしました。
実は以前から気になっていたのですが、日々の診療に追われ、なかなか自分の治療には手が回りませんでした。
金属アレルギーやその影響についてお伝えする立場である私の口の中に、金属が残っている状態では説得力に欠けるのではと感じたことも、決断の後押しとなりました。
金属アレルギーは、すぐに症状が現れるわけではありません。長い年月をかけてじわじわと身体に影響を及ぼす点があり、慢性疾患のような性質もあります。例えるなら、歯周病のように気づかぬうちに進行していくものかもしれません。
例えば「何もしていなくても痛む(自発痛)」「噛んだときに痛む(咬合痛)」「歯がぐらつく(動揺)」「歯茎が腫れる(腫脹)」といった症状が出る頃には、歯周病がかなり進行しているケースが少なくありません。
アレルギー症状に関しても、個人差はありますが、金属による影響が一因である可能性は否定できません。実際、歯科治療に使用される金属がアレルギーと関係しているという報告もあり、金属を避けたいと希望される方が増えています。
私自身も、自身の奥歯に詰めていた金属を除去した際、虫歯はありませんでしたが、かなり深い穴が開いていました。神経が近かったため、術後に痛みが出た場合のリスクを避けるべく、「ドックベストセメント」を併用し、その上にグラディアを充填する治療を選びました。幸い、術後の痛みもなく快適に過ごせています。
また個人的な体感ですが、金属を除去してからは、朝起きた時の顎の痛みが軽減し、肩こりや倦怠感も以前より感じにくくなりました。ただし、これらは私自身の体験に過ぎず、すべての方に同様の変化があるとは限りません。精神的な安心感も影響している可能性があります(いわゆるプラセボ効果かもしれません)。
グラディアは見た目が保険適用の白い詰め物(コンポジットレジン)と似ていますが、実際には異なる素材であり、非常に硬く摩耗に強いのが特徴です。歯ぎしりや食いしばりがある方にも適しており、さらに神経への刺激が少ないため、深い虫歯にも対応しやすい点が魅力です。
当院では、神経を残したままの大きな虫歯に対して、できるだけ神経を抜かずに治療する方針を大切にしています。その一例として、ドックベストセメントを用いて患部を保護した上で、グラディアを詰める治療を提案しております。
このような考え方を支持する歯科医師として、テレビ番組『これが世界のスーパードクター』(TBS)に出演された小峰一雄先生も、「歯は神経を抜かなければ長持ちする」と語っておられました。
なお、グラディアの治療は自由診療(保険適用外)となります。3か月に一度の定期メンテナンスを継続いただいた場合、2年間の保証をお付けしており、標準的な治療費の目安は以下のとおりです。
グラディア充填:1歯あたり10,000円(税抜)
ドックベストセメント併用の場合:1歯あたり15,000円(税抜)
※症例やご希望内容により費用は変動する可能性がございます。詳細はお気軽にご相談ください。
皆さまのお口の健康、そして全身の健康づくりに少しでも貢献できれば幸いです。